設立趣意書

20世紀は科学技術の世紀といわれたように科学技術の目覚しい進歩によって、世界は未曾有の発展をとげました。量子力学や電子工学、分子生物学に代表される物理、化学、生命科学等の学問の急速な発展と技術の飛躍的進歩を基礎として豊かで便利な生活と長寿を獲得してきました。

わが国は、科学技術創造立国として、ICT(情報通信技術)、バイオテクノロジー及びナノテクノロジー等において、世界に冠たる地位を占めておりますが、これらの技術革新のスピードは早く、次世代を担う技術の人材の育成は喫緊の課題であります。

ICTの分野においては、今日デジタル技術が主流を占めております。デジタル処理技術では、必ずしもエレクトロニクス基礎知識の習得を必要としませんが、デジタル技術開発段階では、エレクトロニクスの基礎知識に詳しいアナログ技術が必要となります。

わが国が科学技術創造立国をより高める中で、基礎技術を持つアナログ技術者を外国に依存し、出来上がったIC(集積回路)を使うデジタル技術者のみが増加する傾向にあることを懸念されております。

アナログ技術者の育成には高等教育が欠かざるものと言わざるを得ません。将来的に基礎技術を持つ技術者不足を補うためにも、ここに、電気の基礎知識の重点的習得と独創性を持った若い技術者の育成が重要であることから奨学援助を行うこと、また、次世代を担う若者が科学技術に興味を持ち、楽しく学ぶための電子通信工学の振興を目的として財団を設立します。